命に感謝 その5 甲状腺右葉摘出

 2008-11-05
手術の時間だ。看護師さんが呼びに来てくれた。同室の方々が励ましてくれる。自分の足で手術室へ。

点滴を開通され、麻酔を入れますよと言われる。その後の記憶は皆無。「手を握ってください。」そう言われて目が覚めた。どうやら夢を見ていた。麻酔中は睡眠状態なのかとか考えていると、身体をベッドからベッドへ移動させる機械が作動する音が聞こえた。まだ痛みは感じないが、首元を切られていることは分かっているので、首を動かして全身の状況を観察することもできない。枕の位置がわるく、肩が激しく痛い。時間を聞くとおよそ3時間が過ぎていた。

心電図やらドレインチューブやら点滴が煩わしい。翌日の回診時には全部外れるそうだ。手術が終わったのが15時過ぎ。回診までの時間がとてつもなくつらかった。まず唾を飲み込むのがとてもつらい。管を気管へ突っ込んでいたためだそうである。また、咳なんてこわくてできない。肩というか、首の後ろも凝りすぎてて激しく痛い。手術台であごを目一杯に仰け反らされていたからだそうだ。気管が傷ついてるのか痰がどんどん出てくるけど、喉あたりに力が入らないので、切るのに苦労する。皮膚の下での切除部の血が止まらない場合、緊急再手術もありうると脅かされていたので、なにごともおっかなびっくりである。

同時に別室で手術を受けた方がとなりにいらっしゃる。痛みは強くないという。ただ、傍目にも苦しそうに痰が激しく絡んでいる。あり得ない強さで痰を切ろうとしているからびっくりした。僕は痰はひどくないが、ともかく痛いからだ。よくあんなに力を入れられるなあと。痛み止めを点滴してくれと頼むと、いざと言うときに備えてもうすこし時間をおいてから注入したほうがいいとのこと。仕方なく我慢。22時ごろだったか、意を汲んで看護師さんが痛み止めをセットしてくれた。しかし、これはあまり効いた気がしなかった。のちに麻酔科の先生いわく、痛み止めは静的な痛みには効くが、動的な痛みには効きにくいのだそうだ。どうりで、唾を飲むときの痛みが和らがないわけだ。

人生で初めて排尿の介助を受けたりしつつ、熟睡することなく夜が明けた。5時か6時ごろだったか、隣の方は介助を受けつつ立ち上がり、ドレインや点滴とともにトイレへ行った。ありえない。僕にはまだムリ。痛い。トイレは我慢して、回診後にドレインなどが取れてから行くぞ。いろいろつながっているから着替えることもできず、とても寒い夜だった。風邪→咳→のどの痛みという連想がつらい。

8時ごろに朝食が来た。おかゆやゼリーなど、噛まなくていい系のメニューだ。前々日の夜から絶食なのでお腹には嬉しい。しかし、飲み込みはつらかった。とはいえ、噛む段階で苦労はないのでお昼からは通常の食事にしてもらえるよう頼んだ。その後、もとの病室へ。9時過ぎに回診が始まる。ドレインが取れて晴れて自由になれた。自分の足で立って排尿できるのがこんなに嬉しいとは。事前にネットで見たところによれば、下半身を剃毛したり、尿道にカテーテルを通して排尿するなど、そんなこともあるのかと気が滅入っていたが、そんなプロセスはまったくなかった。次の日には自分で歩ける手術なのだ。実際、術後2日目以降の患者向けに肩と首のストレッチを行う時間が設けられていたりする。首元にガーゼを巻いた大人数人が集まっておっかなびっくりに首を動かすという、ある種異様な時間であった。

病室ではいろいろ話せないこともないが、首の切った部分というより喉が痛いので、おとなしくしていた。恐る恐る首を鏡で見た。グロい。留め具でばちっと挟まれています。縫合の代わり。7センチくらいかな。先生いわく、皮膚は横に切られているが中は縦に切っているんだそうです。どうりで見た目より感覚がない部分が広い。中は縫合されているが、抜糸はしないという。

【術後1日目だったかな】
無題

つづく
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